ビジョンに触れる

社長メッセージ

株式会社大丸松坂屋百貨店 
代表取締役社長

澤田太郎SAWADA Taro

いま大丸松坂屋は、変革期の真っ只中。
300年、400年と変わらない価値観と、
お客さまとのつながりを軸に
その姿を、未来に向けて変えようとしています。

澤田太郎社長が立っている写真

はじめに意義、つぎに利益。

皆さんは「先義後利」という言葉を耳にしたことがあるでしょうか。大丸松坂屋百貨店(以下、大丸松坂屋)には、「先義後利」という精神が根づいています。「企業の利益は、社会やお客さまへの義を貫き、信頼を得ることでもたらされる」という意味で、創業時から脈々と受け継がれているものです。

百貨店はだったらいいな、を描く仕事。

百貨店とは、社会のため人のために、どのような役割を果たしているのでしょうか――価格や機能といった利便性に寄った価値軸だけでなく、質の良さや豊かな気分といった感性に寄った価値軸を持ち、上質で潤いのある暮らしを提案していく――独自の視点でブランドや商品、サービスを選び、求めている人に届け、つないでいく役割ととらえています。暮らしを取り巻くあらゆるものを対象に、夢ある暮らしを描き、お客さまに伝えていく仕事なのです。

ただ、過去の常識にとらわれていては、未来に向けた道を拓くことはできません。「伝統」の良さを活かしながら、圧倒的な「革新」に向かっていく。そこにこそ、今の時代における「先義後利」があると考え、新しい発想や知恵、若く新鮮な力に期待しています。

澤田太郎社長がソファに座っている写真

大丸松坂屋には、15の「本店」がある。

大丸松坂屋は、「リアル店舗」「オンライン」「外商」という3つのタッチポイントでお客さまとつながっています。
「リアル店舗」については、北は札幌から南は博多まで、全国で15店舗を展開しています。そして、各店舗が地元と密着した“ローカリティ”を大事にしてきました。周囲の人や店と深くかかわり、一体となって街作り・店作りを行なってきたのです。たとえば神戸大丸は、周辺に広がる旧外国人居留地の古い建物を活かし、さまざまなブランドのブティックを導入して、モダンで上質な街作りを行なってきました。また、京都大丸は、伝統ある町家を使い、ラグジュアリーブランドをはじめ、さまざまなポップアップイベントを行なっています。さらに、須磨大丸には市立図書館が、静岡松坂屋には「スマートアクアリウム静岡」という水族館が入っており、地元に密着した場として愛用いただいています。

また、その地の風土や文化に根ざした独自のコンテンツを発信する活動も積極的に行なっています。たとえば博多大丸は、2018年に「九州探検隊」というプロジェクトを立ち上げています。これは、沖縄を含む九州各地を訪れ、行政と協力しながら、魅力的な生産者や商品などを発掘・紹介していくもの。今後は、このような“ローカリティ”に根ざしたコンテンツを、全国にわたる店舗でネットワーク化していくことも視野に入れています。

「店舗のない百貨店」をどう構想するか。

一方、時間や場所という制約を越えたオンラインの領域は、大きな可能性を秘めています。これから目指していくのは、「リアル店舗の枠組みをはずした百貨店ならではのビジネス」です。その先鋒を担っているのが、ファッションのサブスクリプションサービスである「アナザーアドレス」であり、デパートコスメを幅広く扱うメディアコマースの「デパコ」です。これからさらに、多面的なビジネスを広げるため、若い発想や知恵を存分に注ごうと考えています。

外商がもっと、社会に貢献できること。

また「外商」も、大きな可能性を秘めている領域です。「外商」とはお客さまのもとに出向き、さまざまな要望に応えていく、百貨店が昔から営んできたビジネスのひとつ。お客さまのあらゆる要望に応えるのに加え、お客さまの潜在的な要望をキャッチしてご提案する――いわばコンシェルジュ的な役割を果たすものであり、住宅やクルーザーなど、店頭にない商材も扱っています。また「外商」は、高い技術力を持った商材の販売代行など、企業を対象にしたBtoBビジネスも行えるものであり、開拓の余地が広い領域と言えます。

やさしいまなざしをもって、気づき、試し、拓いていく。

大丸松坂屋は、いわば「本店のない百貨店」であり、店や人がフラットな関係でつながり、支え合うかかわりを大事にしてきました。多様性を持った「個」が力を発揮し、尊重し合う「やさしさ」は、企業風土のひとつと言っても過言ではありません。「やさしさ」とは、他への思いやりであり、素直で細やかな情を持っていること――これからの時代に必要不可欠な財産ととらえています。

時代の大転換期は、新しいことに挑戦し、道を拓く絶好のチャンスでもあります。豊かな発想力や瑞々しい感性、たくましい好奇心、力強い実行力などを備えた若い力が不可欠です。100%の正解がない時代にあって、自ら考え、自ら動き、自らの夢や希望に近づこうと考えている方と、一緒に働けることを楽しみにしています。

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