神戸を世界的な
洋菓子の街にしようとしている人
大丸神戸店 営業3部 戦略スタッフ兼バイヤー
S.O
2006年入社/農学部出身
わたしのキャリア
- 2006.4
- 大丸神戸店 婦人雑貨子供服部 玩具売場
- 2006.9
- 大丸神戸店 婦人服エルメス パーツオンパーツ
- 2009.3
- 大丸神戸店 食品部 酒・グローサリー
- 2010.3
- 大丸神戸店 食品部 菓子
- 2010.9
- 大丸芦屋店 菓子・酒除く食品 アシスタントバイヤー
- 2014.3
- 本社 フーズ統括部菓子・惣菜 ディベロッパー&エディター
- 2015.9
- 本社 オムニチャネル・WEB通販・ギフト担当 バイヤー
- 2020.9
- 大丸神戸店 営業3部 菓子 マネジャー
- 2023.3
- 大丸神戸店 営業3部 戦略スタッフ兼バイヤー
いまの仕事
大丸神戸店 営業部 戦略スタッフ兼バイヤー
戦略スタッフの仕事は、「食」「ファッション」「雑貨」といった担当分野の中期計画を定めて、具体的な取り組みに落とし込むことです。なかでも私のミッションは「神戸の食=大丸」と一番に思い出してもらえるフロアをつくること。そのために、イベント企画と運営をはじめ、新規ブランド導入に向けた調整、神戸らしい食品の開発などを行っています。普段もっとも時間を使うのは市場調査や入店ブランドの新規開拓。各地の洋菓子業界の動向やお客さまの気分を把握するために、商業施設はもちろん、行列のお店やオープンしたてのお店にはできるだけ足を運んで直接見るようにしています。
もっと教えて、一問一答
私の役割は一人で「ビジネスの戦略を立案・実行する」というよりは、周りの人々が動き出したくなるような「活動の意義を考える」という方が近いかもしれません。というのも神戸の洋菓子職人は「ビジネスを広く展開したい」というよりは「ハイクオリティなお菓子を追求したい」という意識が強い人々。確かなクラフトマンシップと神戸愛があり、ファッションのハイブランドに似た価値観を持つ方も多いんです。そういった人に、大丸の集客力を活かした売上向上策を提案するだけでは全く興味を示してもらえません。どうすれば腕利きの彼らをわくわくさせ、心に火をつけるような企画が出せるか。それをいつも考えています。
東京や大阪と違い人口が少ない神戸では、洋菓子店に行くのは地元の常連の方がほとんど。観光客や出張で通りかかる「一見さん」が少ないんです。そのせいか「見た目にインパクトのあるお菓子」「話題になったお菓子」というだけではなかなか街に定着しません。また、市をあげて若手の洋菓子職人のコンテストを開催したり、腕利きのパティシエたちがチームを作ってスイーツを共同開発したり。土壌がいいので新しい店舗のレベルもはじめから高い。舌の肥えた地元の人が長い年月をかけて育てた独自の洋菓子文化は、神戸の財産です。この街で洋菓子に関われるのは、特別な体験だと思います。
「洋菓子フェスタ in KOBE」はゴールデンウィークに大丸神戸店が開催する洋菓子イベント。例年は日本全国から選りすぐりのブランドを誘致し、テイクアウトとイートインブースを展開してきました。しかし今年は県外にも地元にも「神戸=洋菓子の街」と宣言する意味もこめて、初めて地元ブランドだけで開催することに。70余年の歴史をもつ老舗「にしむら珈琲店」など初めてのお取引先さまとのおつきあいも生まれ、多くの方々のご協力のもとイベントを成功に導くことが出来ました。イベント後はさまざまな地元ブランドと「もっと神戸を盛り上げよう」と約束しあえ、改めて地域色を強めて開催してよかったと思っています。
今の時代、食の領域で飛び抜けた物を作ろうとすると必然的にローカルになると考えています。神戸では質の高いものを作る方ほど、生産者の人となりや生産プロセスを知った上で原料を仕入れる傾向にあります。そして自分が作ったものを自らが管理できる範囲で売りたいと願っている。私の考える「食のラグジュアリー」の条件は ①手作りであること ②できたてであること③作る・売る・食べる、という循環を丁寧に回していることの3つ。不思議なことにこの3要素を突き詰めていくとローカリティにたどり着きます。パリでも東京でもなくこの時代に神戸にいることは大きな強みだと感じています。
「神戸=洋菓子の街」というイメージは日本では定着しているかもしれませんが、その本当の価値はまだ十分には伝わっていないと感じています。神戸港を入り口にヨーロッパから伝来した洋菓子文化はこの街で独自の深化を遂げました。私たちの役割は、そんな神戸の洋菓子の真価をより多くの方に知ってもらうこと。例えば、神戸らしいバレンタインイベントとして「旧居留地をチョコレートの街にしよう」と呼びかけはじめています。百貨店のバレンタインイベントはどれも魅力的ですが、クラシックな旧居留地のイメージをいかした様々な仕掛けとショコラティエの競演をお楽しみいただけるのは神戸店だけ。いつかは「ルミナリエ」のイルミネーションのように他県からも人を惹きつける、さらに世界中のチョコレート好きの目的地となるような街を神戸のみなさんと作っていきたいと思っています。