山内祥太

山内祥太
photo by Seichi Saito

1992年岐阜県生まれ。神奈川県在住。2016年東京藝術大学映像研究科メディア映像専攻修了。自己と世界との関係性や、現実と空想の裂け目といったものをさまざまな方法で明らかにしようと試みてきた。 映像、彫刻、VR、パフォーマンスなど表現メディアは多様で、身体性の生々しさや人間らしい感情と現代のテクノロジーを対峙させ、作品制作を行う。

主な展覧会

  • 2025 / 山口情報芸術センター[YCAM] / 演劇作品「匂いのモニュメント忘れ去られたエロス」
  • 2024 / 京都市京セラ美術館 / ACK特別展示「結晶世界」
  • 2022 / 森美術館 / 「MAM プロジェクト 030×MAM デジタル:山内祥太」
  • 2022 / ヨハネス・ケプラー大学 / グループ展「アルスエレクトロニカ・フェスティバル 2022」
  • 2021 / ワタリウム美術館 / グループ展「水の波紋展 2021:消えゆく風景から ― 新たなランドスケープ」
  • 2021 / 寺田倉庫 / グループ展「TERRADA ART AWARD 2021 ファイナリスト展」金島隆弘賞・オーディエンス賞

山内祥太は、3DCGや映像、彫刻、パフォーマンスなど多様なメディアを横断し、デジタル(仮想)と生身の身体との邂逅を試みているように感じます。視覚にとどまらず、嗅覚や触覚を喚起する装置を設計し、個々の感覚と記憶を巻き込みながら、実在の認識を改めて促すのです。スマートな最新技術の駆使の背後に、生々しく泥臭い物語や批評性が潜む彼の作品やプロジェクトには、相反するものの乖離と包容が同時に現れます。自分の関心以外のことには触れようとせず、そうすることに慣れてしまった今日の人々の忘却に沈んでいくもの・こと・現象を思い出させ、名状しがたい心地の悪さを突きつける、回収不可能な複雑さを帯びた作品の提示に期待し、推薦した次第です。

statement 2025 推薦委員会 角奈緒子(金沢21世紀美術館 学芸課長)

新作《Being… Us?》を発表します。
本作では、もし私たちの姿が次の瞬間にふっと消えてしまったら──という想像から生まれた、人類の姿が消えたあとの世界をインスタレーションとして描いています。
そこでは「未知なる存在」が、複数の照明器具やスピーカーそして、モノリス状に組まれたLEDパネルに宿り、光と音を介して互いに呼応し合うように、絶え間なく形を変えながら空間を満たしていきます。その響きの奥に、どこか言葉や思考の痕跡のようなものを、かすかに感じ取ることができるかもしれません。
会場となる国立京都国際会館のピロティは、無機質なコンクリート構造に黒い柱が一定のリズムで連なる空間です。そこに複数のLEDバーライトを配置し、建築に寄生するように光の装置を構成します。建築構造と呼応しながら、新たな“存在の現れ方”を探ります。
また、過去・現在・未来がひとつの身体の中で混ざり合う新作オブジェも発表します。光と呼応しながら、異なる時間軸をまたぐ存在として立ち現れます。未知の世界を体験してもらえたらと思います。

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